大事なものは貸金庫へ…でも貸金庫に預けたまま相続が発生したら?
ここ最近、紛争や災害など心配なニュースが多く、私たちを取り巻く社会への不安は増えるばかりです。
先日も東北を震源とした大きな地震がありました。私の住む千葉県でも長く強い揺れを感じ、防災の備えについて改めて見直す必要性を痛感しました。
そんな時、家具の転倒などで部屋の中が散乱している映像をニュースで見ながら、ふと思いました。
こうなってしまったら、
「印鑑や通帳など見つけるの大変だろうなぁ。」
いざという時、こうした貴重品や重要書類などは自宅においておくのは不安です。
地震、水害、火事。そうなったときにいくら重要なものでも「印鑑!通帳!」なんて考えていられません。
そのためには、手元に置いておくのではなく、「銀行の貸金庫」など安全な場所に保管しておくと安心だなと気になっている方も多いのではないのでしょうか。
ただ、気になるのが「貸金庫」に預けた後の事です。
預けた後、自分が万が一の事になったらどうしたらよいの?
家族がどういう手続きをとることになるの?
実は、貸金庫の相続手続きについては、銀行での相続手続きの中で一番大変な手続きなのです。
契約者が亡くなってしまうと、口座凍結と一緒に貸金庫は相続手続きが終わるまで使用できません。
もし、他の銀行通帳や印鑑、保険証券、土地の権利証などがあっても取り出して確認、手続きができないのです。
貸金庫を開けるためには、まずは他の相続手続きと同様に、戸籍などの必要書類を一式そろえる必要があります。
そして、原則相続人全員の立ち合いのもと中身を確認します。
金融機関によっても多少違いはありますが、具体的な流れは以下の通りです。
- ① 金融機関に電話して訪問日を予約
- ② 必要書類をそろえる
- (戸籍、相続人の印鑑証明など多岐に渡ります)
- ③ 予約日に相続人全員で金融機関に出向く
- ④ 中身を確認して解約手続きをする
ちなみに新浦安駅周辺の銀行では、予約が取れるのが一カ月先などよくあります。
(人気レストラン並みです!)
私たちは相続手続きの依頼を受けて、貸金庫の開封の手続きも行っておりますが、
先日金融機関に出向いた際は、予約時間に行ってもなかなか進まず、待ち時間が35分超えたあたりで、役職者であろう行員さんから「ご予約頂いたにもかかわらず大変お待たせして申し訳ございません、こちらで書類を先にお預かりします」と声を掛けてもらいました。
事前に記入済みの相続依頼書と通帳、法定相続情報、委任状など必要書類をお渡ししながら「貸金庫があるんです…」とお伝えすると、その行員さんは「貸金庫ですか、だいぶお時間頂戴すると思いますがよろしいですか?」と本当に申し訳なさそうです。
行員さんも忙しく大変なのでしょう。元銀行員の私としてはついつい気持ちがわかり「大丈夫です!ゆっくりで!」と思わず返してしまいました。
相続手続きの書類の確認に大体30分くらいかかり、貸金庫の手続きに移り、行員が一人立ち会い中を開けて鍵等の返却、手数料の日割りでの計算などを経て全て終了するまでに大体3時間弱かかりました。
このように、一つの銀行で相続手続きについては大体2~3時間かかるので(行員の経験上、大体書類が足りなく1回の手続きでは終わる方はほとんどいません。弁護士や司法書士の事務所からの依頼の場合は1回でほぼ終わります)個人で手続きをする場合は長時間かかる覚悟をして予約を取った方がいいでしょう。
ちなみに、銀行の予約は混む日程(5がつく日、10日、年金の日、月末)を避けて取ると比較的待ち時間が少ないです!